私だけに甘いあなたと恋をする
「よっ」


軽く手を上げてテーブルの向かい側に腰を下ろしたのは田川だった。


「元気?」


「そう見えるか?」


ニコニコ笑いかける田川の表情が一瞬で曇る。

せっかく来てくれたのに何て返し方なんだと思うけど、今の自分にそんな余裕はなくて。


「何しに来たんだよ」


口から出てくるのは最低な言葉ばかり。


「えっと…、その……。しばらく学校来てないからさ…。ノート!そ、ノート持ってきたんだ」


必死に明るく振る舞ってるけど、俺の吐き捨てるような言葉に困惑してるのが分かる。


「要らない」


「え?」


「必要ない」


頭では分かってるのに止まらない。
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