私だけに甘いあなたと恋をする
「もう行かないから必要ないって」


「え…、何で?」


「野球の推薦で受かった高校なのに、野球がダメだったら行く意味がない」


瞼の奥がじわりと熱くなる。


俺のせいで…。


どれだけ一生懸命頑張ってもバッティングは苦手で。

それを補おうと投球練習を頑張ってたら、選抜メンバーに抜擢(ばってき)された。

『一年生ピッチャー』ってもてはやされて、浮わついてたのかもしれない。

三点も取られて。

最後の打席はピッチャーゴロ。

投打共に何の役にも立てなかった。


「俺なんて――」


「真鍋はダメじゃないよっ!」


顔を上げると、田川がボロボロ泣いている。
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