私だけに甘いあなたと恋をする
田川まで俺のせいじゃないと言う。


何で誰も俺を責めないんだよ…。

俺が……。

俺がもっと打者の苦手なコースの分析ができてたら…。

もっと俺が――。


ふいに目の前が薄暗くなる。

顔を上げると同時に田川が抱きついてきた。

あまりにも突然過ぎて、一瞬頭が真っ白になる。


「おっ、おいっ!」


我に返って声を上げた。

両腕を掴んで離そうかと思ったりもしたけど。


触っていいのか…?これ…。


触れる直前に固まって動けなくなった。

柔軟剤なのか、シャンプーの匂いなのか。

ふわりと香る匂い。
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