私だけに甘いあなたと恋をする
「田川」


真鍋くんの言葉にカナちゃんがビクッと震えた。


何かあったのかな?


二人の様子をじっと後ろから見守る。

皆も二人に注目。


「なっ…、何?」


機械みたいに固い動きで真鍋くんの方を向くカナちゃん。


「ノート。サンキュー」


そう言って鞄からノートを取り出した。

それを両手で受け取っている。


「え?もういいの?だって昨日――」


「全部コピーしたから」


カナちゃん、真鍋くんにノート渡しに行ったんだ…。

同じ中学だから家近いんだよね、きっと。


「ありがと」


「どう…いたしまして…」


あれ?

何か二人の空気がいつもと違う?
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