私だけに甘いあなたと恋をする
――……。


ノックの音でうたた寝していたことに気が付いた。


「まゆ?起きてる?」


ドアの向こうから聞こえたのは響ちゃんの声。


「あ、うん…」


「開けてもいい?」


「えっ!ちょっと待って!」


慌てて髪の毛を手ぐしで整える。


よだれとか……ないよね?


両方の手のひらで確認。


うん、大丈夫そう。


「い、いいよ!」


カチャリと音を立てた後、静かに開くドア。

ケーキとコーヒーカップが載ったお盆片手に、響ちゃんが部屋に入ってきた。


「もしかして、寝てた?」


クスクス笑いながら近付いてくる。
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