私だけに甘いあなたと恋をする
「まゆ……。血、もらっていい?」


響ちゃんの切なそうな声。

キューッて胸が締め付けられる。


「……いいよ…」


そんな声聞かされたら、何とかしてあげたいって…。

そう思うから。


「ありがと」


フッと優しく微笑む響ちゃん。

この笑顔だけで胸がいっぱいになる。


「――っ、あ…」


「そーゆー声、他で聞かせたらダメだよ」


「やっ、――っ…」


他って…。

こんな状況になることないもん。


「まゆ、ごめん。ちょっと我慢して」


え……?


響ちゃんに謝られた次の瞬間――。

ブチッという音が耳の奥に響いた。
< 69 / 449 >

この作品をシェア

pagetop