私だけに甘いあなたと恋をする
ん――…。


目の前の景色がぼんやり(にじ)んでいる。

徐々にハッキリしてくる意識。


あ…。

そうだ。

私、保健室で寝ちゃったんだ。


ゆっくり体を起こした。

薄いグリーン色のカーテンがベッドの周りを取り囲んでいる。

さっきまではしなかった消毒液の匂い。


誰か来たのかな…。


上履きを履き、そっとカーテンを開けた。

丸い回転いすに座っていた男の子がこちらを振り返る。


「あ…」


誰も居ないと思っていたのに人が居て、思わず声が漏れてしまった。

ぺこりと頭を下げる男の子。
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