私だけに甘いあなたと恋をする
※※※



「ただいま帰りました」


夕方、響ちゃんがリビングのドアを開けた。


「おかえりなさい」


私とお母さんがそれを出迎える。

ソファに座って新聞を読んでいたお父さんも顔を上げた。


「疲れたでしょう」


お母さんが壁に掛けてあるハンガーを手渡すと、響ちゃんはお辞儀をして受け取り、着ていたスーツの上着を掛ける。


「いえ…。仕事をしている時は没頭できるので」


「そう。今ご飯の準備してるから、もうちょっと待っててね」


「ありがとうございます」


「あ、まゆり」


洗面所に手を洗いに行った響ちゃんの姿を目で追っていたら、お母さんに呼ばれた。
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