私だけに甘いあなたと恋をする
自分の靴箱のところまで来ると、真鍋くんがしゃがんでスパイクに履き替えていた。


「あ」


私の声に真鍋くんが顔を上げる。


「もう大丈夫?」


「何とか。真鍋くんは今から部活?」


「うん」


靴紐を結び終えて立ち上がる真鍋くん。


「まだ顔色悪いじゃん」


じっと見つめられ、思わず目を逸らした。


「ちょっとフラフラするけど、歩けるから帰ろうと思って」


「……。何か書くものある?」


「え…。あ、うん…。あるよ」


鞄を漁ってペンケースからシャーペンと生徒手帳を取り出す。


「貸して」


手を差し出すから、その上に二つを重ねて置いた。
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