私だけに甘いあなたと恋をする
「心配だから送ってあげたいけど、練習サボるわけにもいかないし…。家に着いたらどっちかに連絡して」


何かを書いていると思ったら、シャーペンを乗せて返された。

白紙だったページに書かれた電話番号とメールアドレス。


「もし家にたどり着く前に無理そうだったらすぐに連絡して」


「おーい!ナベー!先輩達来るぞ!早くしろ!」


エントランスの外に出ていた同じ野球部の子がこっちを向いて叫んだ。


「分かってるって!今行く!」


振り返って返事をする真鍋くん。


「その時は飛んでいくから。じゃ、気を付けて」


向き直ってそう言った彼は、軽く手を挙げ私に背を向けて走り去ってしまった。
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