タイムスリップ・キス
Time24.5年後)
「これ可愛くないですか?」
「あ、本当だ可愛い」
「絶対似合いますよ!」
「え、私に?晴ちゃんの方が似合うと思うよ」
「そんなことないですよ、このロングワンピは優月先輩のが合いますよ!」
21歳になった冬、女子大生として青春謳歌中の椎葉晴です。
バーゲン中の服屋さんであーでもないこーでもないって言いながら、服を探してます。
「じゃあお揃いにしませんか?」
「わ、いいね!今度一緒に着て遊ぼうか!」
色違いのワンピースをお互い手に取った。このままレジに持っていこうと振り返る。
「いつまで待たせんだよ」
「優月に晴ちゃん、欲しいのは決まった?」
こうも対照的な表情になれるのかってぐらい、全く違う顔をしてた。
「なんでそんな言い方しかできないのかなー、伊織先輩はこんなに穏やかに笑ってらっしゃるのに」
「ちょっと待ってからもう50分経ってんだよ、十分優しいだろーが」
「行きましょう、優月先輩!お会計に!」
スッと優月先輩の背中を押して今度こそレジに向かう。ささっと2人の元を離れて、レジの列に並んだ。
「晴ちゃんたち仲いいね」
「そんなことないですよ。伊織先輩はあんなに優しくて優月先輩が羨ましいです!」
「晴ちゃんの彼だって優しいじゃない、晴ちゃんたちお似合いだと思うよ」
優月先輩がふふっと笑った。
笑ってる。
今、私の隣で。
これもあの頃の私にはきっと想像できなかった未来。
「お待たせ!」
すぐにお会計を済ませてお店の外まで戻ると、笑い合って話す2人がいた。何を話してるのかはわからなかったけど楽しそうで、そんな2人の間に入っていくのが少しもったいない気持ちになった。
「おぅ、じゃあ行くか」
声を掛けたら2人の会話は終わっちゃったのがちょっと残念だった。まぁでも、2人がそうやって話してるのを見るものいいね。
「伊織先輩、優月先輩、今日はありがとうございました!」
「ううん、こちらこそ。優月が晴ちゃんと買い物したいって言ったから」
「今度買ったワンピース着ようね」
「はいっ!」
ばいばいと手を振って別れた。
伊織先輩と小西先輩は目を合わせ、微笑んで、幸せそうに手を繋いだ。
そんな2人の後姿を見ながら見送った。
「…優月先輩いい人だよね」
「昔あんな嫌ってたのにか」
「伊織先輩の言ってた通りだったもん」
「は、何が?」
“優月も生きてたらきっと晴ちゃんと仲良くなったと思うから”
「あ、晴ちゃん山田くん!」
伊織先輩が足を止めて振り返った。
「今日はこれから寒くなるから気を付けてね!」
「はいっ!」
伊織先輩の夢は続いてる、優月先輩と一緒に。
それはきっと私では叶えられなかった。
「あ、本当だ可愛い」
「絶対似合いますよ!」
「え、私に?晴ちゃんの方が似合うと思うよ」
「そんなことないですよ、このロングワンピは優月先輩のが合いますよ!」
21歳になった冬、女子大生として青春謳歌中の椎葉晴です。
バーゲン中の服屋さんであーでもないこーでもないって言いながら、服を探してます。
「じゃあお揃いにしませんか?」
「わ、いいね!今度一緒に着て遊ぼうか!」
色違いのワンピースをお互い手に取った。このままレジに持っていこうと振り返る。
「いつまで待たせんだよ」
「優月に晴ちゃん、欲しいのは決まった?」
こうも対照的な表情になれるのかってぐらい、全く違う顔をしてた。
「なんでそんな言い方しかできないのかなー、伊織先輩はこんなに穏やかに笑ってらっしゃるのに」
「ちょっと待ってからもう50分経ってんだよ、十分優しいだろーが」
「行きましょう、優月先輩!お会計に!」
スッと優月先輩の背中を押して今度こそレジに向かう。ささっと2人の元を離れて、レジの列に並んだ。
「晴ちゃんたち仲いいね」
「そんなことないですよ。伊織先輩はあんなに優しくて優月先輩が羨ましいです!」
「晴ちゃんの彼だって優しいじゃない、晴ちゃんたちお似合いだと思うよ」
優月先輩がふふっと笑った。
笑ってる。
今、私の隣で。
これもあの頃の私にはきっと想像できなかった未来。
「お待たせ!」
すぐにお会計を済ませてお店の外まで戻ると、笑い合って話す2人がいた。何を話してるのかはわからなかったけど楽しそうで、そんな2人の間に入っていくのが少しもったいない気持ちになった。
「おぅ、じゃあ行くか」
声を掛けたら2人の会話は終わっちゃったのがちょっと残念だった。まぁでも、2人がそうやって話してるのを見るものいいね。
「伊織先輩、優月先輩、今日はありがとうございました!」
「ううん、こちらこそ。優月が晴ちゃんと買い物したいって言ったから」
「今度買ったワンピース着ようね」
「はいっ!」
ばいばいと手を振って別れた。
伊織先輩と小西先輩は目を合わせ、微笑んで、幸せそうに手を繋いだ。
そんな2人の後姿を見ながら見送った。
「…優月先輩いい人だよね」
「昔あんな嫌ってたのにか」
「伊織先輩の言ってた通りだったもん」
「は、何が?」
“優月も生きてたらきっと晴ちゃんと仲良くなったと思うから”
「あ、晴ちゃん山田くん!」
伊織先輩が足を止めて振り返った。
「今日はこれから寒くなるから気を付けてね!」
「はいっ!」
伊織先輩の夢は続いてる、優月先輩と一緒に。
それはきっと私では叶えられなかった。