タイムスリップ・キス
ぼーっと空を見上げ、ふと思い出す。

昨日のこと。

目を開けた瞬間、飛び込んできた変わってしまった世界。


なんで私はここへ来たのかな?

どうしてこんなことになったのかな?


私はどうして未来(ここ)に呼ばれたんだろう…


………。

……。


“未来に行けたらいいのに”


ハッと蘇る最悪の記憶。


どうしよう、本当にそれだったら…!

頭抱える…っ

本気でそれだったら、性格悪すぎる理由!!!


“そしたら2人を別れさせて、付き合えるかも♡”


ハッキリちゃんと覚えてる。

確かにそう言ったこと。

……。

…。


「…え、ほんとに?」

抱えた頭が重い。

重すぎて思考回路もどんどん落ちていく。

だって思い当たる節はこれしかないんだもの。

……、本当にそうなの?


…だって、ね?


ここへ来たからには何か意味があるんじゃないかなって思うんだけど、その意味はひとつしか思い浮かばない。


伊織先輩と小西先輩を…


これは仮定ね、あくまで仮定としよう。


ここは5年後の世界、2人の関係性も変わってるかもしれない。


私が見てた2人じゃもうない可能性だってある。

DVを受けてて辛いとか、食の好みが合わな過ぎてしんどいとか、よくある価値観の相違とか…

何かしらの理由で別れたいと思ってるけど、別れられない状況にあったとして。


そこに現れるのが私なのでは?


その救世主が私なんだ!


すごい、しっくり来た!



コレだ!!!




きっとそうだ!!!



…たぶん。



ちょっと弱気にはなるけど、ここは無理くり結論付けて答えを出した。

あってようがあってまいが、希望を見付け出すしかないんだ今の状況は。

そうなると今の私に出来ることって…
伊織先輩と小西先輩がどうしてるかを知ること。


伊織先輩に…、会いに行くこと。


会って、話して、何にしてるのか…

聞いてもいいよね?

聞いても…!

スカートのポケットからスマホを取り出して、すぐに伊織先輩の連絡先を開いた。

ドキドキと脈を打つ中で、通話ボタンを押した。


5年後の伊織先輩に繋がる……


って繋がらないんだった!

癖って怖いもので、使えないってわかっててもいつも通りの行動を取ってしまうものなんですね。

何してるんだ私、焦りすぎ。

…しかもLINEしか知らないから電話番号わからないんだよね。

せめて電話番号がわかったら、公衆電話からかけるとか出来たのに…

「はぁ…」

様子を見て山田に伊織先輩のこと聞いてみよう。何か知ってるかもしれないし。
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