タイムスリップ・キス
Time9.パステル色のおたんじょう日)
「伊織先輩、こんにちは!」
「なっちゃん、いらっしゃい」
Florist of dwarfs、小人たちの花屋。
それが伊織先輩が働く花屋さん。
名前も可愛くって、ときめきが増していくような場所だった。
「今日はどんな用?」
「えっと、今日は…」
スッとスマホを取り出した。
意を決して、絶対に言うんだと昨日から決めていたことを声に出した。
「連絡先教えてください…!」
5年前の伊織先輩の連絡先は知ってるけど、今の伊織先輩の連絡先は知らない。
ドキドキしながら返事を待っていると奥から店長さんが出て来た。
「伊織くん、今日は人も少ないからもう帰ってもいいよ」
「え、いいんですか?」
「うん、お疲れ様!」
店長さん…っ!!!
心なしか私に微笑んだ気がした。
送り出してくれるみたいに、はなむけを贈ってくれるみたいに。
「じゃあ、お言葉に甘えて…失礼します」
伊織先輩がFlorist of dwarfsから出て来るのを待って、一緒に帰ることにした。
あたかも自然な流れで隣を歩いている。
わ、どうしよう。
冬なのに熱い。
Florist of dwarfsをずっと真っ直ぐ行ったところにあのカフェがある。
今日も外にはデコレーションされたメニュー看板が出ている。
今日のおすすめメニューは…
「あ、“パステル色のおたんじょう日”!」
「え?」
「あ、すみませんっ。看板に書いてあったからっ」
慌てて口を押えたけど、もちろん何の意味もなくて。目に入ったからつい言ってしまった。
「このメニュー…、最初見た時ビックリしたんですよね!こんな名前の紅茶があるんだって!伊織先輩知ってました?」
「僕も初めて聞いたかも」
「ですよね!味に想像が出来なくて、紅茶なのにパステル色ってどんなのかなって、しかもおたんじょう日で!賑やかな紅茶なんですかね!」
あ、しまった!
つい浮かれモードで喋りすぎちゃった!
久しぶりに伊織先輩の隣を歩いたから。
「………。」
伊織先輩も困ってる…
「ふふっ」
え…?
「賑やかな紅茶って、それは想像付かないね」
笑ってる…
いや、笑われてるの…?
かもしれないけど、くすくすと声を出して伊織先輩が笑ってた。
やばい、困る。
好きで困る。
「じゃあ今度一緒に飲みに行く?」
「え…」
5年前は絶対言ってくれなかった。
私の妄想の中だけでしか聞けなかった。
私に向けられた言葉。
「はい…っ!」
どんどん胸の音が大きくなる。
だって伊織先輩の優しい笑顔はあの頃のまま、きっと何年経っても変わらないんだよ。
伊織先輩はそうゆう人だもん。
私の好きな人だもん。
「あ、でも私今月金欠で…っ」
「いいよ、僕が奢るよ」
今すぐ好きって言いたい。
「なっちゃん、いらっしゃい」
Florist of dwarfs、小人たちの花屋。
それが伊織先輩が働く花屋さん。
名前も可愛くって、ときめきが増していくような場所だった。
「今日はどんな用?」
「えっと、今日は…」
スッとスマホを取り出した。
意を決して、絶対に言うんだと昨日から決めていたことを声に出した。
「連絡先教えてください…!」
5年前の伊織先輩の連絡先は知ってるけど、今の伊織先輩の連絡先は知らない。
ドキドキしながら返事を待っていると奥から店長さんが出て来た。
「伊織くん、今日は人も少ないからもう帰ってもいいよ」
「え、いいんですか?」
「うん、お疲れ様!」
店長さん…っ!!!
心なしか私に微笑んだ気がした。
送り出してくれるみたいに、はなむけを贈ってくれるみたいに。
「じゃあ、お言葉に甘えて…失礼します」
伊織先輩がFlorist of dwarfsから出て来るのを待って、一緒に帰ることにした。
あたかも自然な流れで隣を歩いている。
わ、どうしよう。
冬なのに熱い。
Florist of dwarfsをずっと真っ直ぐ行ったところにあのカフェがある。
今日も外にはデコレーションされたメニュー看板が出ている。
今日のおすすめメニューは…
「あ、“パステル色のおたんじょう日”!」
「え?」
「あ、すみませんっ。看板に書いてあったからっ」
慌てて口を押えたけど、もちろん何の意味もなくて。目に入ったからつい言ってしまった。
「このメニュー…、最初見た時ビックリしたんですよね!こんな名前の紅茶があるんだって!伊織先輩知ってました?」
「僕も初めて聞いたかも」
「ですよね!味に想像が出来なくて、紅茶なのにパステル色ってどんなのかなって、しかもおたんじょう日で!賑やかな紅茶なんですかね!」
あ、しまった!
つい浮かれモードで喋りすぎちゃった!
久しぶりに伊織先輩の隣を歩いたから。
「………。」
伊織先輩も困ってる…
「ふふっ」
え…?
「賑やかな紅茶って、それは想像付かないね」
笑ってる…
いや、笑われてるの…?
かもしれないけど、くすくすと声を出して伊織先輩が笑ってた。
やばい、困る。
好きで困る。
「じゃあ今度一緒に飲みに行く?」
「え…」
5年前は絶対言ってくれなかった。
私の妄想の中だけでしか聞けなかった。
私に向けられた言葉。
「はい…っ!」
どんどん胸の音が大きくなる。
だって伊織先輩の優しい笑顔はあの頃のまま、きっと何年経っても変わらないんだよ。
伊織先輩はそうゆう人だもん。
私の好きな人だもん。
「あ、でも私今月金欠で…っ」
「いいよ、僕が奢るよ」
今すぐ好きって言いたい。