タイムスリップ・キス
1階も2階も3階も4階も、全ての階を見てからプラネタリウムに向かった。

「マジ、マイナス30℃は寒すぎた…!」

「忘れたけど今冬だったよね、わざわざ寒いとこに飛び込んでいくなんてこと普通はしないよね。してたのうちらぐらいだったね」

「罰ゲームかと思ったわ」

想像以上に寒かった北極体験、思い出しても寒いしか感想が出て来なくてずっとこの会話してる気がする。

入った瞬間の命に関わるんじゃないかって危機を感じる刺激的な寒さだった。

そしていよいよ、プラネタリウム。


ずっと楽しみにしていたプラネタリウム…!


ワクワクしながらプラネタリウムラボの中に入った。

球体型の室内のプラネタリウムラボは真ん中に大きな投影機が設置されていて、その周りにふっかふかのリクライニング式の椅子がいっぱい並んでいた。

「晴、こっちとそっちどっちがいい?」

「どっちでもいい!どっちでも変わらないよね?」

「おう、たぶんな」

隣の席で見るプラネタリウムは映画館みたいに近くて、ドキドキしながら席に座った。

しばらくすると完全に電気が消されて、それと同時ぐぐーっと座席が倒された。


始まる、憧れのプラネタリウム…!


心地よい音楽が流れ始め、耳障りの良いアナウンスと共に星の紹介がされる。


そして現れる。

ぱぁっと星たちが。

満天の星空がふわーっと、視界全部に広がる。


「すご…っ」

意図せずに声が出ちゃった。

小さな声でよかった。

あまりに綺麗だったから。

すごくすごく綺麗だったから。



うわぁ…、すごい。
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