タイムスリップ・キス
バラバラだった出来事が全部が重なった。


タイムスリップする前に願ったこと。

タイムスリップしたキッカケになったこと。

そしてその直後、小西先輩が亡くなったこと。


きっと全部繋がってる。

じゃなきゃこんなこと起こるはずない。 


私のせいだ…!

私があんな風に思ったからだ…!


目の前が真っ暗になっていく。

肌が粟立(あわだ)ち、ジリジリと背筋が凍る。

心臓の拍動(はくどう)が乱れて、呼吸の仕方がわからなくなる。


私が全部原因なんだ…っ

私があんなこと願ったからだ…!


「なっちゃん…?どうしたの、なんで泣いて…」

涙がこぼれてくる、だけど伊織先輩に見せちゃいけない涙。

次から次へと、止めようとしてるのに言うことを聞いてくれない。


会えないよ!


会えるわけないよ!


会うことが許されるわけないよ…!


(わたし)はずっとそう思ってるんだ…!!!


「なっちゃん?」

声が出ない。

何も言えない。

罪悪感なんて言葉では片付けられない。 

ずるいことはわかってる。
 
だけど、何も出来なかった。 

自分のことしか考えていない自分が本当に嫌だった。

「ごめんなさい…っ」

走ってその場から逃げてしまった。

「なっちゃん…っ!」

伊織先輩の呼ぶ声が痛い。


伊織先輩の前で笑ってた自分が憎い。


どうしたって後悔は消えないのに。
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