きみと繋げた雪明かり



私の、せいだ。全部……



「……アタシは一生あんたを許さない。そのうち地獄に叩き込んでやる」



私を睨みながらそう言った透子さんはこれでもかというくらい、今までの恨みがこもっていた。



「アタシが経験した絶望、全部あんたにくれてやるから。高一の時、あの子が亡くなって——」



「…透子さん!!」


「なんだよ」



人もいる中でその話はまずい。それに、私の横には岬木くんもいる。



それに、このことに岬木くんを巻き込むわけにはいかない。



「…今は人も多いので、その話はやめませんか……」



この選択が吉と出るか凶と出るか。


凶のほうを引いてしまった場合、ますます彼女の逆鱗をひいてしまうだろう。


「あ、なに?もしかしてその横の彼氏に聞かれたくないの?」


「いや、彼氏じゃ…」


「へぇ……、付き合ってるくせになにも聞かされてないんだ。可哀想」



私がさっきの言葉を言った瞬間、標的を岬木くんの方まで向けた透子さん。



もし、このことが岬木くんに知られてしまったら……想像するだけでもゾッとする。



「可哀想って……」


「うるさい、可哀想な彼氏さんに一つだけ教えといてあげるよ」


「は……?」


岬木くんは反論するけど、透子さんはそれに動じずに無理やり話をして進めてしまっている。



…もう、やめて——



「その女が人を見捨てた偽善者だってことをさ」



「ひと……?」



やめて、それ以上は聞かないで岬木くん。


目の前が真っ暗になりながらも、残酷なことに透子さんと岬木くんの声だけ聞こえて来る。



最近は体調、安定してたのに——



「じゃあね、そのうちまた会うと思うけど」


「………」


透子さんは軽く挨拶して、人混みの中に紛れていったけれど、


私はまだ目の前が真っ暗のままだった。


もし、岬木くんに知られてしまったら……



「…のさん、星野さん…!!」


「っ、え…?」


「すごく顔色悪いけど、大丈夫…⁉︎」


岬木くんに言われて、私がどれだけ透子さんのこと、あのことを思い出すのが辛いかを知れた。



「うっ………!」


……まずい、気分、悪い……
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