きみと繋げた雪明かり
立ち位置も決めないといけないからどっちにしろ何回か空き教室は見学に行かないとダメなんだけど、
結構呼び止められることがあるからここも簡単には離れられない。
「星野さん、何してるの?」
「えっと……立ち位置とか決めるために資料作ってるんだけど、中々ここ離れられなくて……」
突然、ひょこっとパソコンの画面を覗いてきたのはシンデレラの演目を決めた子だった。
その子は大道具係になっていて、彼女のセンスは誰もが息を呑むほどだから本当に助かっている。
「あ、じゃあ見てきなよ!資料作れないし」
「でも、結構忙しくて……」
「私がなんとかしとくって、これでも大道具リーダーだから!」
どん、と言う効果音がつきそうなくらい自分の胸を叩く。
確かに彼女は誰にでも気はきくし、リーダーだから色々なことを知っていたためとても助かった。
「ありがとう……!行ってくるね」
そう言ってから教室を飛び出して、階段を登り四階へ向かう。
もともと二学年しかいない棟だから、4階には少しだけ空き教室があるのだ。
えっと……確か403室。
403と書かれた部屋に出来るだけ静かに後ろのドアから入る。もし通し練習などをしていて邪魔するのは申し訳なかったから。