きみと繋げた雪明かり


私が来てしばらく経ったあと、通し練習が終わったのか、パチパチとあちこちから拍手が鳴り出した。


結局ラストシーンは杉田くんと話していたから見れなかったけど…何があったんだろう。


ふと、最後の結末が気になってクラスの全員に配布していふ進行表もとい台本を取り出す。



えーと……


出来るだけ邪魔にならないように、そこに書いてある文字を黙読した。



**


王子:シンデレラ、僕と結婚してくれませんか。あなたのこと、愛しています。

シンデレラ:ええ、私も。愛しています!


〈キスのふりをしながら暗転〉


**



「って、なにこれ…!?」


「うおっ、どうしたの夜宵ちゃん」


黙読していたつもりが、いつのまにか大声になってしまっていて途端に恥ずかしくなる。


い、いや。だってこれ…


キス、なんて口にするだけでも恥ずかしいのに演技までするなんて…


これ脚本担当したの誰だっけ…



一応、原作をリスペクトしながら台本を使い回しせずに1から書き直してもらったんだけど、予想外なら結末に驚かされないわけがなかった。


ということは、私が杉田くんと話している時に、岬木くんたちはキス……のふりをやっていたのだろうか。
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