きみと繋げた雪明かり
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「えっと……まずは俺がここからスタートするだけど…」
あれから、キャスト陣の打ち合わせが終わってから岬木くんが私の存在に気付いたらしく、
用件を伝えると「じゃあ、俺が手伝うよ」と忙しいのに快くOKしてくれた。
どうやら日によってアドリブも入れるらしく、聞かされた時は驚いたけどちょっとしたものらしいから新たな大道具とかは不要だそうだ。
「——って言う感じだよ」
「ありがとう。助かったよ…!」
全て説明し終わった後、改めて岬木くんに頭を下げる。
本当に岬木くんが手伝ってよかった。何かあった時ようにほとんどの立ち位置を覚えているらしく、私にも丁寧に説明してくれた。
「いえいえ、こっちこそ。事務仕事全部星野さんにやらせてごめんね」
「これが私の仕事だから…!岬木くんは劇に集中できるように頑張るね」
彼がいないからこそ頑張らなければ。いつも会長に助けてもらってる副会長ではないんだから。
「……うん、ありがとう。あのさ…」
「どうしたの?」
お礼を言ってくれた後、少し不自然な間を開けた後に岬木くんが聞いてきた。