きみと繋げた雪明かり



「…さっき、翔の何話してたの…?」


「なにって……」


私が杉田くんと話していたとき、岬木くんはキャスト陣と打ち合わせしてたから私がいることも知らないって思ってたんだけど…


岬木くんは結構周りを見てくれるんだなぁ、と再確認した。


そして、杉田くんと何の話をしていたか、なんだけど。



「…劇の話だよ?岬木くん上手だなぁって」


「…そっか、ならいいけど」



なんとなく、本当のことは言えなくて大雑把に誤魔化した。


だってさすがにキスの話はできないじゃん……!


それに、しょうがないって思っても岬木くんが演技でもその子に近づくのがなんだかもやもやした。


本当にはしないってわかってるのに色々な感情が合わさってごちゃごちゃになってしまう。


こんなことを岬木くんに言ってしまったらだめだよね、って思うのもあって具体的には言わなかったんだけれども。


自分の感情を押し付けたらそれこそ良くないし。



私が頭の中でそう思ってると、岬木くんが意味ありげな笑みを浮かべた。



「へぇ……キスは本当にはしないよ?」


「……はっ!?」


「あはは、やっぱり翔が似たようなこと言ってたし」


そう言って少年のように可愛い笑顔で笑う岬木くん。


キキキキスって何で岬木くんが……!?


私が頭の中で混乱していると岬木くんのさっきの一言を思い出した。


 
『翔が似たようなこと言ってたし……』



……杉田くんか!!
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