きみと繋げた雪明かり
「さすがに本当はしないよ。だって俺と涼木さんはそんな関係じゃないし」
「そそそれは存じております…」
クスクスと子供をからかうように笑う岬木くんだけど、本人にバレたことが一番恥ずかしいし消えたい。
あと、岬木くんも子供みたいに笑うんだって言う謎の感心。
杉田くんにはあとで言っておこう。
……でも、付き合ってなくても近くに寄せちゃったりするんだから、こんなこと言うとダメだけど演技ってすごい。
涼木さんの演技も姫って感じです違和感もなかったし、ビジュアルも声もそのために生まれてきたみたいだ。
涼木さんが岬木くんのことをどう思っているかわからないけれど、やっぱり羨ましいとも思ってしまう。
「…あ、そうだ。星野さん今日の生徒会後空いてる?また練習一緒にしてくれないかな」
「うん、大丈夫。なんだか岬木くんと良くやってるから、私も台詞覚えてきちゃったよ」
「あはは、ごめんね。星野さんと一緒にできたらよかったのにね」
岬木くんは、台本を読みながらそう話す。
…落ち着け、ただの社交辞令だ。本気なはずはない。
そう思っていても、期待してしまうのが恋心の悪いところだ。