きみと繋げた雪明かり
「……風山(かぜやま)先生?」
「うん、星野さん。久しぶり」
「先生も……お久しぶりです」
振り返ると、そこには二十代後半くらいの若い女性。
風山奈子(なこ)先生。私の中学2年生の時の担任の先生で、今もまだあの学校に勤めているそうだ。
先生は……ちょっと痩せたくらいで全然変わってない。まだあの優しいおっとりとした雰囲気は健在だ。
「今はここにいないんだっけ?」
「はい、卒業と同時に父の転勤が決まりまして……」
「そうなんだ。すっかり都会の雰囲気ね」
先生はそう言ってふふ、と微笑んだ。
全然そんなことはないのだけど、と思ったけどそれは胸の中にしまっておくことにした。
実は、私はこの地に昔は住んでいた。5年間だけだけど、色々なことがあったから思い入れは強い。
卒業の3週間前くらいにお父さんの転勤が決まって今いるところに住むことになったのだ。
だから、私は今の学校に中学が同じとかいう人はいない。
「星野さんもここに?」
「はい、先生もですか…?」
「うん、橘さんは私も印象のある生徒だったから。いい子だったから、あんなことがなければ——」
先生はそう言って、悲しそうに黙り込んでしまった。
先生の思うことに納得する。もしあんなことがなければとてもいい人生を送っていたと思う。頭もよくて、気遣いもできる。