きみと繋げた雪明かり
ここは電車のペースがすごく少ないから適当にその辺を歩いて暇つぶしをする。
そういえば、新しいお店がこの辺にできている気がする。これも旅の醍醐味だ。
駅の感じを見ながら黄昏ていると、近くからあまり聞きたくない甲高い声が聞こえた。
「…夜宵ちゃんじゃん」
「…と、透子さん……」
見上げた先にいたのは、この前とはまた違うフォーマルな雰囲気でどこか大人っぽさを感じさせるような透子さんがいた。
なんでここに、と思ったけれど当たり前だ。なんだって透子さんは凛子のお姉さんなのだから。
本音を言うと、透子さんに会うとあの件の思い出したくないこともフラッシュバックしてしまって気分もあまりよく無くなってしまう。
この前のように、頭が痛くなってしまったり。吐き気などが出てきてしまう。
そんな暗い感情をグッと抑えながら、透子さんのほうをじっと見た。
彼女は紙袋に小さなバッグと、特に大掛かりな移動ではなさそうだった。