きみと繋げた雪明かり
ふと、ゾワッと体が逆立つような感覚に襲われる。
まただ、透子さんと話していると思い出したくないことまで蘇ってしまう。
早くここを立ち去りたかったけれど、帰り道はどうせ同じ。それに、威圧感とミステリアスな瞳から何故か逃れられなかった。
「なんだけっけ、岬木くん?彼、いい子そうだよね。すっごいモテそう。顔もかっこいいし」
「……結局は何が言いたいんですか?」
「え?やだなぁ、ただ単なる夜宵ちゃんの仲がいい男の子を褒めてるだけじゃん」
透子さんはそう言っているけれど、なにか裏がありそうな気がする。本能的にそう感じてしまった。
わたしがそう警戒していると、急に「ははーん、わかっちゃった」と透子さんが探偵のように顎に手を置いた。
「……前から思ってたんだけどさ、付き合ってなくても夜宵ちゃんってあの子のこと、好きなの?」
「なっ……!」
「あはは、何その反応。図星じゃん」
「い、いや別に…」
いつものようについ言い返しそうになったけれど、ここで話すとボロがでるだけ。となんとか自分で踏みとどまる。
これ以上透子さんのペースに乗せられたらダメだ。乗せられてしまったら色々と言いくるめられてしまう。