きみと繋げた雪明かり
すべてのはじまり
「ちょっ、凛子!ペン落としたよ!」
「ごめーん!夜宵にいっつも拾ってもらっちゃってるね!」
目の前にはごめん、と申し訳そうに苦笑いする親友。
あれから、半年。私たちはお互いを親友と呼べるほど仲良くなっていた。
休日は映画とか買い物に行ったりしたし、校外学習の班も希望制なら同じみたいに大体の時間は一緒にいた。
凛子と一緒にいたら、前よりも笑えるようになった気がして、気分が落ち着く。
一人でいるよりも、友達と一緒にいるだけで不安や孤独感が和らいで段々と「自分は一人じゃない」って思うようにもなっていった。
気づけば凛子の隣が私の居場所のなっていて、周りからも「仲良しだね」と言われるようにも。
凛子の周りにはいつも人が集まる。最初は「邪魔しちゃ悪いかな…」と遠巻きに見ていたけれど、いつしか凛子がその中に入れてくれて一緒に話したりもする。
お互い人間関係も順調……だと、思ってたけど…
あの日から、私たちの日常は段々と崩れていった。
「あれっ、ない。ごめん夜宵、教科書見せて…!」
「はいはい、ちゃんと見つけなよ……?」
手を擦り合わせてお願いしてきた凛子に、よいしょ、と教科書を寄せる。
私の最近の小さな悩みだ。凛子の持ち物がよくなくなる気がする。