きみと繋げた雪明かり
ほうかい
***
「ごめーん夜宵、また見せてもらっちゃって」
「………」
「夜宵…?」
凛子がいじめられてるかも、と聞いてから次の週。
四限の終わり、私が教科書を貸したことへのお礼を凛子は言ってくれていたけれど、私はいつものように「はいはい、次は気をつけてね」のような言葉は言えなかった。
凛子はそのことを知っていたら。私はそのことをなにも聞かされていなかったのが悔しかった。
「なんで親友って思ってたのになにも知らなかったんだ」と悔しくて、凛子と一緒にいても表情は晴れなかったり、いつも通りに返答できない。
私が思っていたのは少しでも頼って欲しかっただけだ。
私が頼りないのは十分わかっていたけれど、凛子がそのことを全部一人で抱え込んでいるよりかはいいと思った。
「……あ、のさ、凛子」
「んー?なに?可愛い夜宵ちゃんのことはなんでも聞いてあげよう!」
いつもだったら軽い冗談で流している凛子の言葉も、今となってはなんだか辛い。
意を決して言おう。そう思って軽く呼吸をする。
「……話したいことがある。中庭に来てくれない?お昼食べ終わったら」
「………」
凛子ももしかしたら私が言いたいことを察知したのか、急に表情が固まった。