きみと繋げた雪明かり
「……行きたく無いなら、行かなくてもいいと思うよ」
「……夜宵、でも、天見先輩すごく短気で……」
あの先輩、まさかの短気なのか。それは凛子が行くのを渋る理由がわかる。
行くのをやめたら反感を買われている女子たちからは大丈夫かもしれないけれど、あの先輩が何を仕出かすのかがわからない。みたいなかんじか。
「りーんこちゃんっ!ちょっとお話しするだけだって」
私たちが話し合っている間にも、あの男は催促してくる。果たして待てを知らないのか。
言ってはダメだが、少しというか、だいぶ気持ち悪い。
「ご、めん……いくよ」
「え、ちょっ、凛子…!?」
さすがに耐えきれなくなったのか、凛子はさっきの渋りを悟られないくらいにニコっと笑い、軽やかなステップで先輩の元に駆け出していった。
先輩も「じゃあ、ちょっと移動しよっか」となんとも言えないにまっとしたデレデレな笑みを浮かべている。おまけに片方の腕は凛子の肩についてるし。
一歩間違えたらセクハラだよ。なんでこんな男がこの学校でモテるんだ。
そう思っていても、私は先輩と凛子が教室から出て行くのを見守ることしかできなかった。