きみと繋げた雪明かり
嫌悪
一
「お、はようございます……」
小さな声で挨拶はしたけれど、盛り上がっている教室では、私の声は吸収されてしまった。
話してる声だけじゃなくて、トンカチや工具の音など、作業をしているところがほとんどだから当たり前といえば当たり前なのだけれど。
今は2時間目が始まったあたりだ。
昨日、結局気分は晴れないまま寝たらなんと寝坊してしまったみたいだ。総括なのに。
でも、都合よくお母さんが察知してくれて「体調が悪い」とか言って誤魔化してくれたみたいだけど。
「あっ、星野さんきた!大丈夫?」
「うん、大丈夫。朝起きた時、ちょっとだけ体調が悪かっただけだから…」
「それならよかった……。あ、岬木くんが星野さんのこと探してたよ?」
「え?」
ギクッとわかりやすく反応してしまった。どうやらあのこともあり、岬木くんのことは過剰に警戒しているらしい。
クラスメイトの女の子が岬木くんが私のことを探している、ということを聞いて、私は岬木くんがいる空き教室へと足を動かし始めた。
岬木くんの名前を聞いて、思い出すあの言葉。
好きなのに、いられない。なんて苦しいのだろう。
前までは好き、という感情がよくわからなくて恋バナを聞いても「楽しそうだな」という感情しかわからなかった。
でも、全然楽しくない。