きみと繋げた雪明かり
むしろ、苦しい。少女漫画みたいな世界だったら好きな人の行動全てにときめくだろうけど、私には辛い。
これ以上好きになっちゃいそうで、付き合えないのにこれ以上一緒にいたくなくてむしろ苛々したり悲しくなる。
恋は砂糖とコーヒーのようだ、みたいなのは聞いたことがあるけれど、まさにその通り。
「……失礼しまーす」
ガラッと扉を開けると、今は休憩中なのか、雰囲気が明るい。
よく見てみると、輪の真ん中には岬木くんが微笑んでいてなんだか遠い存在みたいだ。
そのまま教室の中に入ろうか迷っていると、岬木くんが私の姿を見つけたのか「あ、星野さん!」とこちらに向かってきた。
「おはよう。体調大丈夫?」
「うん、大丈夫。今はなんともないよ」
「そっか、よかった。…えっと、これこの前頼まれてた立ち位置とプリントで…」
彼がそう言ったあと、一枚のプリントを見せるために密着してきて、心臓が痛い。
近くで見ると、色々な発見がある。
「意外とまつ毛が長いんだな」とか「手、やっぱり男の子なんだな」みたいなことを無意識に考えてしまう。
……って、なんだ私。こんなこと考えて。変態みたいだ。
頭の中で切り替えて岬木くんの話に耳を傾ける。