きみと繋げた雪明かり
最低だ。こんなこと思って。
「……ごめんね」
「…なんで岬木くんが謝るの…?」
岬木くんの瞳を見れないでいると、急にそう声をかけてきた。
岬木くんは何も悪くないのに。全ては私のせいだ。
私がそう思っていると、岬木くんは私の予想外の言葉を発した。
「……だって、星野さん、泣いてるから」
「えっ……?」
泣いてる、と言われ始めて気がつく。よく感じてみると顔にふた粒ほどの滴がつたっていた。
「え…?あれ、なんでっ……」
拭いても拭いても止まらない。むしろ勢いを増して流れている。
岬木くんは自傷の笑顔を浮かべて優しく話しかける。
「…そんな顔させちゃったの、俺のせいだよね。ごめんね。めんどくさい男なんだ」
「そんなこと……」
「…星野さんが言うなら、普通のクラスメイトに戻るよ。生徒会とか必要以外なら関わらない。それでいいんだよね?」
岬木くんが私に確認してくる。ここで決めてしまったら、もう本当に戻れないのだ。
でも、岬木くんを傷つけたくない。その一心で顔を縦に振ってしまった。
「……そっか、わかった。今までごめん。もう聞きたくないと思ったけど、俺、本当に君のこと、本気で好きだったよ。それだけは言える」
私が反応しなくても、岬木くんは優しい口調で伝えてくれる。
「……じゃあね。ありがとう」
それだけ言って、岬木くんは出て行ってしまった。いつでも笑顔で最後まで私を不快にさせないように。一番辛いのは岬木くんなのに。
「ご、めんっ……」
誰もいないのに、涙は止まらない。むしろ、この苦しさは対価交換なのだろうか。
いや、こんなもので交換できるはずがない。
止まらない涙を拭きながら、結局は一人で帰路に着いた。