きみと繋げた雪明かり
一日に2回公演する予定だけど、2日目は少し変則的だ。最終公演が一日目の最後の公演の時間とずれているのだ。
時刻にすると四時。文化祭が終わる時間が5時だからだいぶギリギリの公演となる。
終わりかけになにかインパクトを残したくてこの時間にしたけど、思ったよりみんな順応してくれて助かった。
最初はキャストの体力も心配だったけど、岬木くんはもう想像通りの体力お化けで、涼木さんは入学時代は結構なスポーツマンだったらしく、そこの心配はいらなさそう。
振り返るのはそこまでにして、劇の方をチラッと見る。
「早く行かないと……鐘が鳴っちゃう…!!」
今はシンデレラのソロシーンらしく他のキャストのみんなは隅の方で様子を見守っている。
岬木くんもじっと涼木さんの方を見ていて一瞬たりとも視線を動かさない。
しばらくすると、岬木くん…王子様の出番がやってきたらしく壇上に上がった。
「おや……?あなたは…?」
「お、王子様…!?なぜっ…」
シンデレラと王子様が初めて出会うシーン。ここは岬木が表情の付け方に悩んでいた部分だけど、今は自然に微笑んでいる。