きみと繋げた雪明かり


「……誰?あ、この前の人か」


「…お久しぶりです。一ヶ月ぶりくらいですかね」


岬木くんはいつものにこやかな瞳じゃなくて、威嚇するように透子さんの方を見ていた。


岬木くんの怒ったような怖い顔は私もあまり見たことがなくて、自然と体がこわばる。


すると岬木くんが「あのさ」の声を上げ始めた。


「……言いたいことは山ほどあるけどさ、なんで夜宵を突き飛ばした?」


ビクッと体が反応する。岬木くんが今まで聞いたこともないくらいの低い声で話すから。


透子さんも緊迫したような表情で岬木くんを睨みつけている。


「……同じくらい傷付けたかったからだよ。あなた、私たちの過去の話は聞いた?」


「……聞きました」


「え………?」


疑問がわく。これは私と透子さん以外知らないはず、私はこの件については岬木くんに何も行っていない。なのに、なんで彼が知っているのか。


咄嗟に透子さんと話を合わせるための嘘だと思った。



「どんなことがあっても、人を殺すようなことはダメです。それはあなたをわかってるんじゃないですか?」


「はぁ?アンタに何がわかって……」


「夜宵を傷つけても、あの子が嬉しいと思いますか?」
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