きみと繋げた雪明かり


あの子と言うのはおそらく凛子のことだろう。



なんと、透子さんと岬木くんの話が噛み合っている。ただの嘘だと思っていたのに。


……じゃあどこから?なんで岬木くんはあのことを知っているの?


頭の中でその疑問が支配する。
ひとつ考えられるのは、透子さんが岬木くんが接触して聞かされたこと。


…でも、さっき岬木くんは透子さんのことを「一ヶ月ぶり」と言った。だからその線は薄い気がする。



だったら、このことはあんまり考えたくなかったけど。



……誰か、この学校に私の中学時代のことを知っている人がいる?



つまりはそう言うことだ。私は言ってないんだからこの説が妥当だろう。



私がそう考えていると、透子さんが岬木くんにかける言葉がヒートアップしてるように思えた。


「はぁ……なんで。もしかして夜宵ちゃんは結局はこの男と一緒にいることを選んだってこと?いい子だと思ってたのに」


「……やっぱりそう言うこと」


岬木くんが全てを理解したかのようにそう言った。そう言うってことは、岬木くんは今までのことを全部理解していたということなのだろうか。



「……やっと終わるって思ってたのに、なんで。だったらお前もその女と一緒に受けてみる?」


透子さんがそう言って、階段の下に降りてくる。


なにか、非常ダメな気がする。助けを呼ばなきゃ、と思っても足がすくんで動かない。


透子さんが岬木くんの目の前に立って袖を掴む。


岬木くんが危ない。なのに、助けに行かない自分に3年前と同じように腹が立つ。



「その子と関わらなきゃすんだのに、残念だね——」


< 197 / 206 >

この作品をシェア

pagetop