きみと繋げた雪明かり


「ごめんなさい、弁償するのでお名前を…!」


「いや、大丈夫。これくらい問題ないから」


「でもっ…!」


「それこそ、あなたの方こそ怪我とかしてませんか?」


泣きそうになっている彼女を必死に宥める。


多分この子に泣かれたら一生引きずる。なんだかそんな気がした。



「…な、ないです。ごめんなさい、本当に…」


「なら良かったです…」


俺の方こそ心臓がぶっ壊れそうだ。


「夜宵ー!どうしたの?」

「り、凛子……」


彼女……夜宵っていうのかな…の友達が心配してか俺たちの方にやってきた。


「と、とりあえず本当にごめんなさいっ…!これ、お詫びと言ってはなんですが…」


「え、いやいいですよ…?」


「私が納得しないので!」


そう強く念を押され、仕方なく受け取ったものはシンプルな花の刺繍があしらわれているタオル。



「あ、ありがとうございます…」



そこにいたら何かがおかしくなってしまう気がして早めに退散してしまったことを今でも後悔している。



本当は名前とか学校とか聞きたかったけれど、普通に不審者認定されそうなので聞けなかった。


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