きみと繋げた雪明かり
デート本番
「岬木くん、お待たせっ…!」
「あ、急がなくていいよ、余裕まだあ
るから」
岬木くんは、そう言って息切れしている私を落ち着かせる。
本当に気遣い力が半端ないな…
息を整えて準備が完了すると、岬木くんがスマホをパッと一瞬だけ見た。
「んじゃ、行こっか。ここから10分くらいだし」
「うん」
そう言って集合場所だった駅から歩き始めた。
5分ほど歩いて信号を待っている間に岬木くんが「あっ」と声をあげた。
「そういえば、今日の服、いいね」
「本当?ありがとう」
わ、わざわざ私の服を褒めてくださるために言ってくださったのか…
本当に神の化身みたいだ。静野くんって。
「すごく似合ってる、可愛い」
「あ、ありがとう…」
少し考え事をしたときに不意打ちで言われたストレートな可愛い、という感想に、お世辞でもドキドキしてしまう。
本当にこの男はこれで何人の女を虜にしてきたのだろうか…
無自覚でやってるならかなりの罪に問われそうだ。
でも、少し歩いた10分は全然沈黙とかじゃなくて、むしろ岬木くんのほうから話を広げてくれてすごく楽しかった。
なんとなく、彼が信頼を経て生徒会長になった理由がわかった気がした。