きみと繋げた雪明かり


ここは都会のほうだから、明るいし、時々通る遊覧船もイルミネーションみたいになっていてとても綺麗だ。



「俺、中学のときよくここ来てたんだ。海を見たらなんだか自由になれる気がして」



「そうなんだ…」



「うん、海を見たら嫌なこととか、いい意味でどうでも良くなっちゃう、みたいな?とにかく安心できる場所」



そう微笑む岬木くんは、本当に海を愛しているんだな、とわかる気がした。



私は海にはそんなに詳しくないけれど、今見てるこの景色はとにかく綺麗で目が離せなかった。



「私も、この景色好きだな」



「本当?この季節のこの時間は個人的に一番おすすめ」



そんな時期に連れて来てくれたのは、本当にありがたい。



「俺さ、中学のときとか生意気で、多分今より酷かった。多分翔とかに聞けばわかると思うよ」



「岬木くんが……?」



正直、信じられなくもある。今の姿は誰にでも好かれる優等生と言う感じだから。



「でも、一人の女の子に会って変われた」


「女の子…?」



「うん、その子にもう一度会いたくて、色々努力したんだ。その子がいなかったら、多分俺は捻くれてたかも?」



「あはは、想像できないや。でも、その女の子とまた出会えたの?」
< 45 / 206 >

この作品をシェア

pagetop