きみと繋げた雪明かり
ここは都会のほうだから、明るいし、時々通る遊覧船もイルミネーションみたいになっていてとても綺麗だ。
「俺、中学のときよくここ来てたんだ。海を見たらなんだか自由になれる気がして」
「そうなんだ…」
「うん、海を見たら嫌なこととか、いい意味でどうでも良くなっちゃう、みたいな?とにかく安心できる場所」
そう微笑む岬木くんは、本当に海を愛しているんだな、とわかる気がした。
私は海にはそんなに詳しくないけれど、今見てるこの景色はとにかく綺麗で目が離せなかった。
「私も、この景色好きだな」
「本当?この季節のこの時間は個人的に一番おすすめ」
そんな時期に連れて来てくれたのは、本当にありがたい。
「俺さ、中学のときとか生意気で、多分今より酷かった。多分翔とかに聞けばわかると思うよ」
「岬木くんが……?」
正直、信じられなくもある。今の姿は誰にでも好かれる優等生と言う感じだから。
「でも、一人の女の子に会って変われた」
「女の子…?」
「うん、その子にもう一度会いたくて、色々努力したんだ。その子がいなかったら、多分俺は捻くれてたかも?」
「あはは、想像できないや。でも、その女の子とまた出会えたの?」