きみと繋げた雪明かり
あれ、この声は…
「ひ、光くんっ!?なんで……」
「なんでじゃないよ。一回俺言ったよね」
急に奥の方から現れた岬木くんに驚きを隠せないのか、2人は体を震わせながらも逃げる体勢をとっている。
というか、”一回”って……?
こんなふうになるのは、初めてじゃないってこと……?
「ねえ、きみたちって人の気持ち考えられないの?水ぶっかけられたことある?」
「い、いやっ……!?」
平然と2人組に怒っている岬木くんだけど、
あれ、水ぶっかけ事件って岬木くんに言ったっけ……?
最近は出来るだけ岬木くんを避けていたから、少なくとも私の口からは言っていないはずだ。
なんで岬木くんが知って………
「く、悔しかったの…!!光くんはみんなのものなのに、こんな地味女なんかと一緒にいて…!」
「地味女って最高に気分が悪くなるけどさ……そのまえに、俺はみんなのものって誰が決めたの?昔のアイドルみたいだね」
口調は優しくても真顔で怒気を含んだ声で女の子たちに話す岬木くんはとにかく怖かった。
それに、じ、地味女……。まあそうだけどさ……
女の子たちは今にも泣き出しそうに震えて、そして推し?がそばにいるのに怯えている。