きみと繋げた雪明かり
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「このガラスの靴が入る方はいらっしゃいませんか……‼︎」
「王子様……こちらの娘が…!」
そう言って私の真正面にしゃがみ靴を合わせる仕草をする岬木くん……じゃなくて王子。
あのですね……
『僕、演劇の経験ないから』とか言ってたの誰ですか……!?
むしろ私のほうが足引っ張っちゃってるよ……
もうこの岬木くんの演技なら、ランキング上位はいける気がする…
「靴が…!あなたはあのときの…」
…うん、目の錯覚かな。本物の王子様に見えて来た。
本当にこの人はなんでもできる…
「…いや、会長演技うますぎません?初心者なんですよね」
「いやいや、そんなことないよ」
休憩中、私たちと一緒に練習に付き合ってくれているともえちゃんが話しだす。
ちなみに、ともえちゃんは小さい頃、劇のレッスンを受けたことがあると聞いたので、練習を手伝ってもらうことにしていた。
ともえちゃんもうますぎる。この中で浮いているのは私1人だけ、と言っても過言はない。
「…そういえば、今は先輩が相手してますけど、本番の姫役って誰なんですか?」
「たしか、涼木(すずき)さんだったかな。すごく可愛い人だよ…!」
涼木莉緒(りお)さん、男子にモテモテの可愛い子だ。語彙力はないけど、本当に女の子を極めている印象。
私たちのクラスは誰が言ったのかは忘れたけど、「ビジュアルで勝利を掴む」がコンセプト……だった気がする。
だから舞台に出る人の顔面が本当にいいんだよね。
LHRの内容を思い出していたら、座っていたともえちゃんが「あっ」となにかを思い出したように声をあげた。
「あとですね…急になんですけど会長って、ちゃんと女心とかわかってますか?」
「どうしたの、急に」
ほ、本当に急だな……
「いやだって、会長主役ですよね。それもラブコメ劇の。それだったらシンデレラが今何を望んでいるのか、女心わかっとく必要があるって思いませんか?」
「一応シナリオあるけど…」