きみと繋げた雪明かり


「その中でもです。例えば姫の手を取るって言う指示があったとします。無言でパッと素早く取るより、ゆっくり優しい顔で掬い取るようにした方がいいと思いませんか?」


ともえちゃんが私の手を握って実演のように教えてくれる。


たしかに、相手の気持ちとかなにをされたいか、とか考えた方が演技の幅を広がるかも…


「たしかに、松柴さんが言うことも一理あるね」


「ですよね。女の子が求める表情、仕草を考えると、演劇がさらに楽しくなると思います!」


ともえちゃんが結構いいアドバイスをくれて、岬木くんも賛成なようだ。


これでまた岬木くんのファンが増えそうだな…あはは…


「んー…じゃあ…」


岬木くんが少し考えたあと、私のほうに来て座った。


な、なんだ……



「……俺とデートして?夜宵」


………


…岬木くん、今なんて言った。



「きゃああああ!会長それですよ!それ!」


「これでいいのかな?」


「はい!バッッッチリです…‼︎」



私にさっきなお言葉を言った後、我に戻ったかのようにケロッとともえちゃんに聞く岬木くん。


な、なんだ……劇の役作りか…


それにしてもさ…


……破壊力ありすぎでしょっ…!!!



いつもは暗い顔とかよくしてるかもしれないけど、



これは流石に照れるよ……!?
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