きみと繋げた雪明かり



金欠で買えないのが悔しいけど…



「じゃあ、これ買って……」


岬木くんは言いかけたあと、私が持っているものに気づいたのか、私がさっきまで持っていたペンケースを手に取った。


「これ、買うの?」


「え?ああ……ちょっと金欠で、無理そうかな、と…」



そこで私が少し悲しそうな顔をしたのか、値札を確認した後、ペンケースとお姉さんへのプレゼントをレジの方に持っていった。



「これくらい買うよ?」


「え!?い、いや悪いよ…!」


「今日のお礼ってことで、買わせて?そうじゃないと俺、ただ星野さんを連れ回してるやつってことになっちゃうから…」


岬木くんがそう念を押してくるので、結局は折れてしまうのだ。


……こういうの何回目だ?いつもこうやって流されちゃってるような…



「あ、ありがとう…」


「これくらい全然大丈夫だよ」



そうやってにこやかに笑う彼を見届けながら私は先に店の外に行った。



…いつもそうやって気を遣わせちゃってるから、なんだか申し訳ないな…



次からはちゃんとしないと……‼︎



1人で意気込んでいると、おそらく会計を済ませたであろう岬木くんが店から出てきた。
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