春よ来い! ーあったら良いな,な設定のお話ー

本編(設定)

少子化社会の改善……

出産を強要出来ない大人達が悩みに悩んだ結果。

ー望ましいのは,自主的な結婚·出産。
よし,出逢いの場を増やそう!!

そして誕生した,とある学校……

その名も



『春風高校』



1学年,1~5のクラスにより構成される。

数字が大きいクラス程授業の難易度は高い。

たった数十人の,その狭い門をくぐり抜け卒業したならば,将来は安泰だ。

何組だろうと,就職の幅も他よりずっと広い。

他にと言うと,奨学金も多く出され,安く旨く種類豊富な学食メニューも人気が高いと言える。

最新技術を惜しみ無く使い,常に綺麗に保たれた校舎。

質の高い生徒。

だからこそ,中1の分野も危うい1組は,花畑クラスと呼ばれた。

そんな学校の厚待遇にも,勿論裏がある。

生徒であるための絶対条件。

『恋愛に前向きでいること』

デートの誘いは少しも迷うな。

それがこの学校のありがたき校訓だ。

特に判断基準は無いものの,明らかに人との接触を避けているもの·他人の恋路を邪魔しているものについては,担任から声がかかることもある。

この学校に来る人間は,ミーハーかわけありに大体二分される。

本気で結婚したい人,取り敢えず手っ取り早い名声が欲しい人,お金がない人,とてつもなく頭の悪い人,高校を親に決められたくなかった人,決められた人,将来就職したいと願う狭き門な職業への窓口にした人。

どんな人間であろうと,どこかに対極な人間がいる。

そんなはちゃめちゃな場所。

下心Maxで春と付けられていることは,言わずもがな。

マチ(マッチメイキング)高なんて呼ぶ者もいた。

1組生にとって大切なクラス替えは,学力試験の結果から,進級の際に行われる。

その直前,終業式の日にも,ちょっとしたイベントが。

プロポーズタイム。

プロタイと呼ばれる,言わば生徒の告白タイムだ。

1年生なんかは特に,バレンタインくらいの気持ちで参加する者が多いイベントである。

最初に行われるのは,かくれんぼ。

男子は校庭に待たされ,女子が1~3棟までの校舎内,『自分の一番好きな場所』をキーワードに隠れる。

探す男子は取り敢えず全員校舎内をぞろぞろと歩き回り,目当ての女子がいる者はその人を探す。

制限時間は20分。

見つけられなかったら,そのイベントでの告白はなし。

もし相手を見付けたら,声をかける。

かけられたら黙って右手を差し出し,見つけた側が右手の薬指に,学校至急のオモチャの指輪をはめる。

OKであれば,自分にも与えられている指輪を胸ポケットから取り出し,相手の指にも同じ様にはめるのだ。

次は男女逆転。

ただし,最初に決まったペアは抜けていく。

晴れてカップルと言うことで,見守るだけだ。

指輪を渡していいのは1回,つまり1人にだけ。

受け取れるのも,1人だけ。

渡し渋って参加しなくても,適当な人間に渡しても。

本当に心を寄せる人間は誰かに拐われるかもしれないというハラハライベントだ。

成立したカップルは,校長により放送される。

罰ゲーム的要素も満載だ。

呼ばれた順に校庭にある運営の先生のもとへ行き,生徒はハートの画用紙とおめでとうと記念ストラップを貰う。

画用紙は互いの名前を書いたら提出し,職員室前に飾られる。

それは破局すれば剥がされるけど。

破局しなければ,次のイベントには不参加出来る。

とはいえ,愛情確認のため参加するカップルもいるにはいるが……

3年生はほんのり特別。

言葉も伝えなくてはいけない。

本当のプロポーズ。

はめる指も,左手だ。

受ける側は指輪をはめられる前に,拒否を示すことが可能。

無事婚約者となったなら,渡されるのは2年生達とは別の色のハート。

それは職員室前でなく,校舎の決まったエリアの壁に永久的に張られる。

元々のカップルも,もれなくハートの移動だ。

つまり,色が古いハートのカップルはそれだけ仲良し。

冷やかしの対象になること間違いなし。

結婚の約束までは重いとフラれる人間が出てくるのも,また悲しい現実である。

ー焦り,悩み,不安……

各々持っているほの暗い感情から。

ー熱く燃える恋心。

ふと沸き上がる幸せまで。

そんな学校で,過ごしてみたくはないですか───?



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