有り ふれた 人生

美 奈  ②


千秋からランチに誘われた。

芳乃も由季も佑未、千秋も
父の通夜から葬儀まで来てくれて
手伝ってくれた。

本当に嬉しかった。

少し早くでたから
千秋のアパートへ行くと
芳乃もいて
千秋の洗濯物をたたんでいた。

「もう、芳乃 良いって。」
と、笑いながら言う千秋に
「私は簡単にしかたたまないから。」
と、言う芳乃の手元を見て
実奈は、気づいた。

もう、一緒に食事をする気持ちに
なれずに
千秋に断わって実奈は帰った。

冷蔵庫の食べものだけでは
わからなかったが·····

どうして····
友人じゃなかったの······

私は、小さい時から
母から洗濯物は縦たたみを習った。

ずっと、私はそうだ。

靴下、ハンカチ、タオル
バスタオル、下着まで
母から受け継いだ物

芳乃は、横たたみだ。
簡単で良いが 私はしない。

マンションにあった
玄季の服や私の部屋着は、
横たたみだった。

私は、幼馴染の
一晃に連絡した。

一晃は、直ぐに駆けつけて
くれて抱き締めてくれた。

友人だと思っていた
芳乃の裏切りに
涙が止まらなかった。

一晃は、
「調べるから待って。」
と、言ってくれた。

結果が来ると一晃は、
私の母に話した。

母は、かなり激高だったが
一晃に、説得されて父の友人の
鬼頭弁護士に相談した。

私は、
「一人で大丈夫だよ。」
と、言ったが
一晃が、
「一緒に行く。」
と、きかずに
芳乃に会いに行った。

その間に
母と鬼頭弁護士は、
柳田家に出向いた。

「来る頃だと思ったわ。
あら?そちらの方は?」
と、芳乃に
「貴方に名のる必要はないと
思いますが。」
と、一晃の嫌悪ある声に
芳乃が、怯む

「······どう···して
  ······どうして····こんな····事が

「できたかって?
あなたが嫌いだからよ。
もっと言えば
貴方達三人が嫌いだからよ。」
と、言う芳乃に
情けなくも涙がでる。

「嫌なら、近づかなければ良いだろ。」
と、言う一晃に
「こうやって
いつも守られて。
あなた達三人は
いつも私達を馬鹿にしたような態度で。」
と、言う芳乃に
「あのさ、いつ実奈が
君を馬鹿にしたの?
そんな言葉言ったの?
そんな態度とったの?
全て君の被害妄想だよね。
全て君の勝手な思い込みだよね。
話にならない。
実奈、帰るよ。」
と、一晃は言うと
実奈を立たせて
その場を離れた。

実奈は、自分の態度が
そんな風に
人に不快な思いを
させていたのだろうかと
悩み 熱をだして寝込んだ。

一晃は、そんな実奈を
ずっと励まして側で支えた。

一方 柳田家では
鬼頭弁護士によって
実奈に対しての行いの説明があり
迷惑料で80万円と
接触禁止の書類が
出されて署名した。

子供同士の事だけならまだしも
ホテルかいひん荘の主が
亡くなった間に
わざわざ仕向けた事は
断じて許されるわけなく
かいひん荘と
芳乃の母が経営する美容室の
取り引きは、無くなった。

かいひん荘からの撤退で
芳乃の母の美容室は潰れ
この街を後にした。

もちろん
芳乃は、大学も辞める事になり
この街を去った。
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