有り ふれた 人生
終わる
靑は、躊躇しながら
中に入り
ソファーに腰掛けたから
コーヒーをいれて出す。
「全部を、聞いたわけでは
ないだろう。
ちゃんと話すよ。
大学を卒業して直に結婚した。
だが、やればやるほど上手く行く
仕事が面白くてハイになっていたんだ。
妻となった彼女の寂しさとか
頭になかった。
あの日も仕事が成功して
仲間と盛り上がり
目を覚ますと知らない女と
裸で寝ていた。
彼女を起こして謝罪をして
帰宅した。
リビングのソファーに座っていた
妻に驚きながら
土下座をして謝った。
すると妻だった彼女は
「疲れた。要らないならなぜ
結婚したの?」
と、言うと同時に手首を切ったんだ。
直に止血して、病院へ運んで
あちらの両親と内の両親に
連絡をした。
あちらのお父さんには
殴られたが。
そんなもんじゃ済まされない。
離婚を言われて
慰謝料や彼女が回復するまでの
医療費も支払った。
三年間の結婚生活は終わった。
手首は、直に治ったけど
彼女の心は、中々治らずに
時間がかかった。
自分のやってきた事が
これほどまでに人を傷つけて
いたのだと初めて思い知らされた。
彼女が新たに進めるまでに
更に三年かかった。
それからは、
日本ではなく
あちこちの海外へ
行かせてもらい仕事をした。
恋人もいたことはない。
自分自身が怖いのと
彼女の顔が。
ただ、男だから
その時は、そんな仕事の人に
世話になっていた。
上司から見合いの話しもある
企業側からの話しもある
だけど断ってきた。
そんな俺が····
佑未に出会った。」
と、辛そうに話す靑。
私も藤吾との事を話した。
日本へと帰国した時の話しもした。
「それで、佑未は、
した側の俺を許せない?
どうやって接してよいか
わからなくなった?」
と、言われた。
正直、浮気をする気持を
理解できないし
許せない自分がいた。
もちろん、自分がされたからだ。
縁あって夫婦になったのだ。
この人と永久に生きて行くと
決めたから誓ったのだ。
それは、一方通行ではない。
相手も同じのはずだ。
それを裏切る
藤吾だけでなく
靑·····までも······
私の顔と
私の涙を見て
靑は、辛く苦しい顔をしていた。
「佑未。だめなんだな?」
と、言われて
頷いた私に
「わかった。
ただ、これだけは。
俺は、あの時の俺ではない。
佑未に恋をして
佑未とだから共に生きて行きたい
と、そう思った。」
と、言うと
玄関へと行き、でて行った。