有り ふれた 人生

出 国


クアラ・ルンプルに来て
三年が過ぎ四年になる

クアラ・ルンプル以外で
歯科医をやるつもりも無く

アイダン医師に話しをした。

母親から言われた事も全て
アイダン医師も
「まだ、先は長い。
佑未の思うようにやるのが一番だよ。」
と、言ってくれた。

だが、
「歯科医を辞めてしまうのは
もったいない。」
と、言ってくれた。

私のアパートメントにある
家具や電気等は
アイダン医師におまかせした。
大切にしてくれる人に
使ってほしいと。

衣類だけをキャリアケースに詰めて
空港へと向かう。

靑には、
「クアラ・ルンプルを離れます。
今までありがとうございました。
御身体には、くれぐれも気をつけて
下さい。」
と、送り靑の情報は削除した。

靑だって苦しんだと思う
だけど、どうしても藤吾と静香さんと
重なり、自分でも上手く対処できずに
いた。
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