有り ふれた 人生
【 五つ目の話し 】

富良野市


富良野市に移り住んで
三ヶ月が過ぎた。

泉歯科クリニックに勤めている。
泉先生は、女性の方で
母位にの年の方だ。

色んな柵から開放されたかったのか
泉先生には、全てを話して
「今、此処に自分がいます。
それに問題ないよう
でしたら、雇って頂けますか?」
泉先生は、目を白黒させてから
笑いだして
「一緒にお仕事してほしいわ。」
と、言ってくれたのが三ヶ月前。

患者さんの名前も
少しずつ覚えてきた。

靑の事を忘れた訳では無い
きっと愛していた。
だからこそ
裏切られた感が拭いきれなかった
これは、私の一方的な考えだ
最後の靑の姿が目に浮かぶ

別の人を見つけて幸せに
なって欲しい
とは、思っていない。

いや、思えるだけの
時間は経過していない。

まだ、靑を忘れるための時間が
必要だった。
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