有り ふれた 人生
一緒に食事
帰り際に真面目な顔をした靑は
「また、来ても良い?」
と、言うから
「北海道で仕事あるの?」
「嫌、今の所は。」
と、言われて
ん?と思っていると
「偶然にも、また会えた事を
俺は、無駄にしたくないんだ。
でも、佑未が嫌なら
あきらめる。」
「わざわざ、北海道に時間を
作って来るってこと?」
「·····ああ、そうなるかな。」
「クスクスっ。」
「なんだよ。」
「だって。いつも自信満々な靑が····
と、笑っていると
いきなり抱きしめられて
「嫌われた。と思っていたから」
と、言うから
「正直。連絡先削除してなかったら
連絡していた。」
と、言うと
「えっ?」
と、靑が言うから
「ごめんなさい。あの時は。
今でも許せているのか
わからないの。
でも、靑は藤吾や静香さんとは違う。
と、わかっている。
奥様の事は、ショックだったけど。
ただ、また、裏切られたら
私は、もう立ち上がれない
私は、決して強くない。
今回の事でも
かなりの時間と逃げ場が必要だった。
それに両親や家族、友人に沢山
心配を掛けてしまった。
ああ、まだ、逃げてるけどね。」
と、言うと
「梓を傷つけた事は、
一生背負って行かなければ
ならないと思っている。
だが、離婚から10年以上
恋愛から遠ざかっていた俺が
佑未と一緒にいて
年甲斐もなく、楽しくて
ウキウキして、ワクワクして
ゆっくりで良い
もう、焦らない。
焦って失ってはどうもならない。」
と、言うから
「ありがとう。
こんな私を、そんな風に思ってくれて
私の中で、靑の存在が
大きくて、びっくりしたの。」
と、伝えると
キスをしながら
「今日は、これで我慢する。
食事、美味しかった。
ごちそうさま。」
と、言うから
「お粗末さまでした。
気をつけて帰ってね。」
と、靑の背中を、ポンポンと叩いた。