有り ふれた 人生

陣 痛


予定日通りに陣痛が来て
私は病院へ。

母は、初産だから
予定日通りではないと
思っていたらしいが
父が心配して早く行けと
言ったらしい。

良かった。母か居てくれて
靑も母に言われて休みを取って
いなくて、電話をすると
慌てていた。

だが·····
やはり、子宮口が中々開かなくて
靑は、飛行機で来て間に合った。

立会出産を御願いしていたので
術着に着替えて中に入り
声をかけたり、汗拭いたり
腰を揉んたり、甲斐甲斐しく動いている

気の遠くなるような痛みと何度も
戦いながら·····やっと
「佑未さん。次に波がきたら
息んでね。それまでは我慢して
逃して···そう、上手よ。」

生きみたいのを我慢するのも大変

「ほら、来るよ。いいよ、いきんで!!」
「うぅーん んんんっあっ」
「······オギャーっ、オギャーっ」
「はい。力抜いてね。
かわいい、男の子ですよ。ほら!」
と、先生の手から赤ちゃんは
佑未の胸の上に。

赤ちゃんの良い匂いがする
と、靑を見ると
青い顔をしながら涙を流していた。

「靑?」と、声をかけると
「うん。かわいい。本当にかわいい。」
と、おっかなびっくり
赤ちゃんに触っていると

先生から、ほらッと
腕に置かれて
また、涙を流すから
先生と笑ってしまった。

靑は、赤ちゃんを抱きながら
「佑未。ありがとう。
かわいい息子を産んでくれて
疲れただろ
それから先生、
ありがとうございました。」
と、言うと
「赤ちゃんは、綺麗にされて
新生児室に行きます。
佑未さんは、今から治療するから
靑さんは、外にでていてね。」
と、先生が、言うから
「治療?」
と、心配する靑に
「大丈夫。消毒したり
少し縫合するだけよ。」
と、言う先生
靑は、私を見るから
「大丈夫だよ。」
と、言うと少しホっとしながら
分娩室から出て行った。
「何か、私にされると思ったのかしら?
オタクの旦那さん。」
と、笑いながら治療を始める先生に
私も笑ってしまった。

我が息子
靑といろ、いろ、悩んで
❝ 淳 ❞( あき )
荒砂 淳と決まった。

素直にまっすぐ育って欲しいの
気持ちを込めて。

母は、淳に夢中で
かわいい、かわいいと騒いでいて、
靑が苦笑いをしている。

靑のご両親にも
結婚の話しは別にして
報告をしているから
赤ちゃんができたことを
とても喜んでくれた。
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