クールな優等生は溺愛気質。
「泣くほどのことが大したことないの?」

「うぐっ……」



「……話した方が楽になると思うけど、まぁ無理には聞かないよ」


突き放すような言い方ではないが、どこか寂しさを与える言い方。



「っ……今日、幼馴染みが引っ越しちゃうから遊ぶ予定だったの。……あ、でもっ、二度と会えないって訳じゃないからっ!──────っわ!?」


「それ、早く言ってよ」


慌てて顔の前で両手を振った私を引いて走り出した山口くん。



「乗って」




そこには自転車。



「え、ちょ…」


「ほーら」


うでを引っ張られ荷台に思わず腰をつくと、自転車か進みだした。



「きゃっ」

「ほら、ちゃんと掴まってて」



「アクラさん、家どっち?駅?」


「駅と逆で、あのっ…」



「急ぐよ」






「はぁっ、はぁっ、ここは、どっち」



「ねえっ、もういいよっ」

「よくない、幼馴染み大事なんでしょ?」



息を切らしながら、でも優しい声。



なんで、わたしは──────




「ごめ、っなさ…」

 堪えきれず溢れる涙。




「ちょっ、あく、…」

「っ…ごめっ、う、そ…なの…全部っ…幼馴染みなんて、いなぃ…なのっ…なのっ…」



ぎゅっ、優しい体温に包まれる。



「ゆっくり、深呼吸」


「やまぐ、」
「怒らないから、怒って、ないから…
深呼吸して、落ち着いてからでいいよ」




あぁ、なんて優しいんだろう
< 10 / 10 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

こじらせカップルはめんどくさい
日菜々/著

総文字数/3,823

恋愛(純愛)12ページ

表紙を見る
届かない想い
日菜々/著

総文字数/4,515

恋愛(その他)14ページ

表紙を見る
入学初日にプロポーズされました
日菜々/著

総文字数/46,054

恋愛(ラブコメ)182ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop