溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。(漫画シナリオ版)
「きっちり半分にしないと,泣いて怒ってた」



(そうだったかな?) 

首を捻る真理。

(何せ私が小2,凪が小4の時の話だから)

はしゃいでいたことだけを,真理がぼんやりと思い出す。

(でも……)

凪に肉まんを分けて貰いながら考える真理。

(それが小さくても私なら,私はその時の気持ち,分かるかも)

(凪が年上だからと私の分を大きくするのも,自分の方が胃が大きいと私の分を小さくするのも嫌だったんだと思う)

今や片手に収まる半分の肉まんから,具がはみ出している。

懐かしいと見つめる真理。

(どんな小さな事でも,凪と対等に…隣に並びたかったんだろうな)

凪に視線を移す。

真理が見ているだけの肉まんを,凪が既に食べ始めている。

(やっぱり,私は変わってないのかも)

(冷めちゃう前に……)

頭を切り替えて,はむっと肉まんに口を付ける真理。

じゅわっとお肉の甘味が広がる。

(美味しい……)

目を見開き租借すると,じんわりと体温が上がる。

その優しさに,真理がほっと顔を緩める。



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