溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。(漫画シナリオ版)
ふっと笑わう凪。

真理が顔を引き締める。

凪は慈愛に満ちた視線を真理に送る。



「真理は昔からあんまり笑わないけど,僕の前ではよく笑う。それが嬉しい。真理,もっと笑って? そっちの方がずっと可愛い」



真理が跳ねる心を必死に抑えてふいっと顔を反らす。

(可愛いとか,平気で言ってしまうから)

(だから凪は凪なの)



真理に利き手を差し出す凪。



(笑ったら嬉しいなんて,普通の人は思わないよ)

(お互い癖になった,2人の合図)

真理が凪に顔をあげる。

(それは,帰ろうの合図)

手を伸ばす真理。

その手を,痛くはないけど抗えない力で前方に引く凪。



「いたっ」



真理が小さく悲鳴をあげ目を固くつむる。

おでこが丁度凪の鎖骨のした辺りにぶつかる。



「真理,すきだよ」



動揺に,息を止める真理。

(なんで……今)

(私は何も言ってない。
何かを誤魔化す必要もなかった。)

(そんなの,凪の意思みたいな…本音みたいな……)

凪が小さく息を吸う。

(次の言葉の,準備みたい)

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